こんにちは、三宮SOL店 ナカイです。
前回の
一足の革靴ができるまで ―GROW NATURALLY見学レポート①
に引き続き、
スタッフ フジイと共に、
GROW NATURALLY の革靴ができるまでの道のりを
お伝えしていきます!
(左/スタッフ:ナカイ 右/スタッフ:フジイ)
ナカイ(以下 ナ)
「前回は、革靴のデザイン、紙型作り、
そして革の裁断までをレポートしました。」
フジイ(以下 フ)
「はい!たくさんの工夫があって、
驚きの連続でした…!」
ナ「今回は、革靴作りの工程の
製甲師(縫製)
の部分をレポートしていきます!」
フ「よろしくお願いします!」
ナ「裁断師の山崎さんが裁断してくださった革を
今度は【製甲師】さんが縫製していきます。」
ナ「縫製は、大阪 松原のO.D.R.F.の事務所兼工房でされてます。」
フ「革の縫製って難しそう…
固いし一筋縄ではいかなさそうですね…」
ナ「そうなんです。
まずは、縫製の前に
【革漉き機(かわすきき)】という機械を使って
革を漉いて、縫製しやすくしていきます。」
フ「革って漉けるんですか?(びっくり)」
ナ「私も、その概念がなかったのでびっくりしました」
ナ「こちらが、革漉機!」
フ「これ、どうやって動くんですか?」
ナ「この機械の真ん中の黒い部分が
横向きに(→)に回って、
右の銀の部分が下向き(↓)に回ります。」
フ「ふむふむ」
ナ「写真の左側から革を差し込むと、
横に回っている部分が革を右側に送り、
そこを通るときに、下に回っている部分が
革を漉く仕組みになっています。」
フ「なるほど~!
漉いた革はどんな風になるんですか?」
ナ「こんな感じになります!」
ナ「漉いた部分が薄くなって、
漉いていない部分と段差になっているんです!」
フ「ほんとですね!」
フ「革を漉くと
縫製がしやすくなるんですね?」
ナ「はい、革が固いと、縫製の際、
針が通りにくく、足に沿うように縫い合わせられなかったり、
この後うの、底付けの際も革が跳ね返ってしまい、うまくできないそうです。
なので、この革漉く作業が重要となります!」
ナ「前回もお話したように、GROW NATURALLYで使っている
タンニンなめしの革は
1点1点、厚みや固さなど、質感が違っているので、
各パーツの革の状態を見ながら作業をしなくてはいけません。」
フ「ただ、機械に通して漉けばいいという訳ではないんですね。」
ナ「考えながらする、って本当に難しそうですよね…。」
ナ「この革漉機も体験させて頂いたんですが、
大野さんが実践で見せて下さったときは
スイ―――っと滑らかに作業されてたんですが、
機械の動くスピードも速いし、緊張もあって、
何が何だか分からないうちに
一瞬で終わってしまいました…(苦笑)」
フ「(笑)
革を漉くってことは、削られた側の革もあるんですよね?」
ナ「そうなんです。革漉機の横に落ちていきます。」
ナ「写真撮り忘れてしまったのですが、
鰹節みたいだなあって思っちゃう見た目でした(笑)」
フ「そうなんですね(笑)これは廃材になるんですか?」
ナ「いえ!実は、靴のある部分に使われています!
さて、どこでしょう?
シンキング タ~イム!」
チッチッチッチ(5秒経過)
フ「ええ~ 分からないです…!」
ナ「正解はここ!」
ナ「ブーツの【前コバ】
(前の縁のぶぶん)
のゴムに混ぜて使われているそうです!」
フ「確かに!よく見るとゴム100%じゃない見た目ですね~!
またもや工夫が!」
ナ「素材をなるべく無駄にしないって
すごいですよね~」
ナ「さて、いよいよミシンで縫製していきます。
こちらが、踵(かかと)の部分を縫製するミシンです。」
フ「やっぱり、普通のミシンとは形も違うんですね~」
ナ「立体的に縫製していくので特徴的な形なんだそうです。」
ナ「縫製をする、製甲師さんは
O.D.R.F.代表の大野さんの奥様と
もうお一人の職人さんでされているそうです。」
ナ「見学に行った日は、職人さんがお休みだったので、
大野さんの奥様に実演して頂きました!
三宮SOL店でも人気のスリッポン型
GN-2019の踵部分の縫製をされているところです。」
フ「針の横に円盤が付いてるんですね!」
ナ「この円盤がうまく革を送っているように見えました。」
ナ「元はこんな形に裁断してあるので、
漉いた部分同士(○部分)を、まず、内側から縫い合わせ、」
次に、踵(かかと)に縫い代が当たってしまわないように、
縫い代部分にもう1枚革を充て、
外側から、さらに縫製していきます。」
フ「同じ踵の部分でも、
2回縫製しているんですね!」
フ「大野さんの奥様は、元々靴作りをされている方なんですか?」
ナ「ではなく、2年程前から、始められたそうです。
前回のブログでご紹介した、
裁断師の山崎さんからノウハウを教わったそうです!」
フ「そういえば、山崎さん
昔は裁断だけじゃなく、全部、お一人で作られていたって
仰ってましたもんね。
山崎さんも大野さんの奥様もすごい!」
フ「これで、縫製は完了ですか?」
ナ「靴の種類によっては 手縫いで縫製する部分もあります!」
ナ「でも革は固いので、布のように、針をいきなり
さすことは出来ないんです。」
フ「えっ どうするんですか?」
ナ「革に穴をあけてから 針を通していきます!」
フ「あ!この写真は!見覚えあります!」
ナ「そうなんです。前回お話した
裁断の工程で、鏨(たがね)についた針でつけた、
この小さな穴を、目印に
【ポンチ】という器具と金槌で 穴をあけます!」
ナ「トン!っと穴をあけると こんな感じになります」
フ「おお~ キレイにあくんですね~」
ナ「靴の形によってはこの穴がそのまま、
靴ひもを通す穴になります。」
ナ「手縫いが必要な形の靴は
この穴に沿って、針を通し一針、一針手縫いで
ロウ引きの糸で縫い合わせていきます。」
フ「地道な作業なんですね…!」
ナ「ですねえ。。
1時間この作業をして、ひとり6足くらいのペースだそうです!
やり始めたころは、1.2足しかできなかったそうです。」
フ「う~ん 日々、進歩ですね!」
ナ「縫い終わると、こんな感じに!」
フ「あ!この縫い目は!」
ナ「さっき踵を 縫製したものと同じGN-2019ですね~」
フ「この横の部分、手縫いだったんですね!
より、愛着が増します!」
ナ「こうして、製甲師さんの縫製の工程が完了です!」
フ「革を漉いたり、穴をあけたり、
革を手で扱うには、やはり色んな工夫や準備が必要なんですね!」
ナ「ですね~!」
ナ「まだまだ、お話ししたいのですが、
長くなってきたので、次回に続きます!」
フ「どんどん靴の完成形に近づいてきていますね!」
ナ「次はいよいよ、底付けの工程のお話です!」
ナ・フ「次回もお楽しみに~!」
三宮SOL店 ナカイ
一足の革靴ができるまで ―GROW NATURALLY見学レポート