卸営業の池澤と代表水野が行く、インドフェアトレードパートナーを訪問する旅の続編。
Shramikのオフィスに到着後、2日目以降は、商品開発のやり取りの合間に生産者の方々に生産現場や今の生活お話 を聞く事ができました。インタビューは数名にお伺いできましたが、ブログでは私、池澤が直接インタビューした方々のみ紹介させていただきますね。

まず、Shramikのオフィスのご紹介。昨日も書きましたが、ここはオフィスのみではなく、工房やストックルームも兼ね備えたしっかりとした施設です。
1階は、大きく二部屋に分かれていて、1つはハンドステッチのお仕事。もう一つのお部屋では、ミシンワークとレザークラフトのお仕事がメインに行われています。生産者の方々はそれぞれに得意な仕事をもっており、その持ち場についてそれぞれの仕事を手際よくこなしています。中には、2つ、3つの仕事ができる生産者の方もいて、そういう人は、生産状況によってその日の持ち場が与えられるようです。昨晩ご飯を食べた庭では、毛糸やジュートの手紡ぎ作業が行われています。紐一本作るにも手間ひまが掛かっている事が伺えます。

2階には5部屋あります。1つはオフィス。あと4つはストックルームです。ストックルームといってもただの在庫がおいているわけではありません。一つは、完成されたサンプルストック(かなりのバリエーション!)。一つは、生地のサンプル部屋(山積み!!)、さらに色んな素材の糸や紐が手紡ぎされた物の在庫(これも山積み)そして最後の部屋にも、サンプル商品や商品のストック(壁の棚一面にぎっしり)。この部屋では、パッキングの作業も行われている様子でした。

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ストックルームにて。壁面にはキャンセルされた商品がギッシリ。撮影は一度日本のカメラを使ってみたかった!?ナジールさん

しかし、ここである疑問が浮かんできました。フェアトレードの生産者は、基本的に商品のストックを持っている所は少なく、よほど国内のマーケットに浸透しているか、自分たちのショップを持っている所でないとそうそう在庫は持っていないと聞いています。ナジールさんに『これ誰用の在庫?』と聞いてみると・・・ナジールさんが『それね、注文もらったから作ったら、キャンセルされたんだよ』と少し苦い顔をしながら・・・。えぇーーーっと思いつつも『何処のバイヤーですか?』と聞くと、少しためらいながらも『日本』と・・・
その瞬間、私は言葉を失うしかなかったです。同情の言葉なんて掛けれる訳もなく、同じ日本人として少し恥ずかしいというか申し訳ない感覚、そして怒りのようなもの。生産者がフェアトレードを扱うNGO団体だからと言って、必ずしも 相手がそれを理解して仕入をしているとは限りません。ただ単純に商品に惚れて仕入れたは良いけど、なんの事情があったのか・・・とにかくキャンセルされたとの事。ここで被害を被ったのはNGO団体のMITANです。Shramikの生産者達は仕事に対しての報酬はもらえます。ある意味生産者に対してはフェアトレードは保たれます。しかし、こんな事が度々あってはNGO団体自体の存続が危ぶまれ、NGO団体が無くなれば生産者の生活もダメになります。いくら作る側、売る側が『これはフェアトレードですよ』といっても、買う側の意識や知識がそこになければ全く意味が無いのだと改めて感じる瞬間でした。やはり、より多くの人にこの『フェアトレード』という、人として当然のこと当たり前のことをもっともっと広めていかないといけない。片方が変わるだけではいけない、みんなに知ってもらう事が本当に大切なんだと改めて感じました。

手際のよい仕事ぶり!!すごい!!
手際のよい仕事ぶり!!すごい!!

さて、話は生産の現場にもどります。1階のミシンワークとレザークラフトの部屋に入りました。ミシンは部屋の奥全体を囲む様に約10台ほど並んでいました。そして、入り口から部屋の真ん中に掛けて床の上でレザーワークをしている女性達が数名います。1人の方は、昨日に引き続きシサムのサンプル商品の完成に向けて作り直しをしてくださってました。他の人は、恐らくヨーロッパから入った注文分の生産の為、黙々と作業をされていました。

その中で、私のインタビューに答えてくれた女性アーティザン(生産者)を紹介します。

Gangabbaさん (ガンガッバさん)  〈45才〉

彼女はShramikでレザークラフトとハンドステッチの仕事をしている3人の子供を持つお母さんです。お子さんは21才と9才の息子さんと18才の娘さん。娘さんは既に結婚していて、1才半のお孫さんもいるそうで、そのこが可愛くてしょうがないそうです。9才の息子さんは小学校4年生で、21才息子さんは無職との事。実はこの息子さんが、昔からポリオの影響で障害を持っていて働ける体ではないそうです。

Gangabbaさん。強いお母さんです。
Gangabbaさん。強いお母さんです。

このShramikで働きだしたのは、このオフィスでのプロジェクトがスタートした8年前との事。それまでは小作農として他の人の土地で農業をしていたそうですが、単価は低く、さらに実動は年に100日程度だったとの事。現在はこのShramikの仕事だけで生計をたて、家族を養っており、収入自体も以前と比べてとてもよくなったそうです。現在は、自分自身に高い望みは無いけれど、自分が一度も学校に行った事がない分、9才の息子にはしっかりとした学校教育を受けさせてあげる!と自信を持っておっしゃってました。ただ、障害をもった息子さんに関してはまだ先々に不安が残っているとの事。最後に『いっぱい注文してね』と期待される笑顔で言われました!!

Shramikオフィスでのインタビューはこんな感じです。他にも、別のアーティザンのインタビューやお宅を訪問もしたのですが、それはいつか行うであろう報告会までのお楽しみです。暖めておきます。

さて、Shramikオフィスも今日までです。明日は、ここから1時間ほど離れたベルガウムという町にあるMITANのオフィスに移動して、代表のGopiさんやナジールさん達と商品ではなく、オペレーションや今後の計画について話合う事に。
そのベルガウムの近辺でもShramikの商品を作っているグループがあります。しかもそこはウールセンターと呼ばれていて、ウール製品が作られる場所です。そこでもアーティザンへのインタビューやグループのちょっとした歴史をインタビューしてきました。とても興味深いものがきけましたので、明日はその内容を紹介しますね。では、お楽しみに!!  池澤