シサム工房は、フェアトレードの仕組みでものづくりをしている会社です。
お金やものではなく、継続的に仕事を依頼することで、
立場の弱い人たちの自立を支援するのがフェアトレード。

フェアトレードを行う私たちにとって、
生産者に「継続的に注文する」ことは最も大切にしていること。
いまのところ、それは「継続的にものをつくる」ということになります。

だからこそ、、、これまでずっと、つくった後のこと、販売した後のことに問題意識を抱いてきました。
新たにものをつくり、販売するだけでなく、そのあとに対しても、できることはないか。
何ができるか。。。

不要になったものを回収し、それを再資源化してその素材でまた新たにつくる。
といった、水平リサイクルができれば理想的なのですが、コットン素材では難しく、またフェアトレードでつながる海外の生産者に仕事を依頼することにこだわる私たちにとっては、ハードルが高すぎて、現時点では適いません。
それでもできることは何か。
そう考えて2023年8月から本格的に店舗での服の回収を始めることにしました。

そしてもう少し深く、なぜ始めるかを自問したときに、
それは服の回収が一番の目的ではなく、
「継続的にものをつくる」フェアトレードの会社として、環境に負荷をかけてまでつくったものを短く消費して終わり。ではなく、最大限、意味のあるものにしたいから、ということに思い至ります。

目指すのは、つくったものを「長く生かす」こと。
そしてその過程で、人や環境、社会に対してポジティブに、「たくさんの笑顔につなげる」ことです。
それを「ロングライフ・プロジェクト」と位置付けて、進化させながら取り組んでいきたいと考えています。

できることからこつこつと。

お買いものとはどんな社会に一票を投じるかということ。
What you buy is what you vote.

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以下では、主要な取扱品である服に特化させて、取り組んでいることをまとめてみました。

「ロングライフ・プロジェクト」 3つの取り組みㅤ

1. サステナブルな服づくりㅤ

土に還る素材にこだわり、作り手のことを知り、作り手が持っている技術や身近な技法を生かしつつ、フェアトレードの仕組みで自立支援につながる服づくりをしています。

さらに、

◆ 素材のオーガニックコットン化
◆ ボタンなど副資材の脱プラスチック化
◆ 無駄の少ないパターンデザインや
◆ 端切れ生地の有効活用
◆ 補修や調整を想定したデザイン上の工夫
◆ デザインの定番化 など、

フェアトレードプラスな取り組みとして、CO2排出を抑えた服づくりにコミットしつつ、長く着ていただける服づくりに取り組んでいます。

2. 大切に長く着ていただくㅤ

ただものを販売するのではなく、生産者のこと、手仕事のこと、フェアトレードの仕組みなど、もののうしろにあるストーリーを丁寧にお伝えする。
この販売方法自体が、愛着をもっていただき、大切にしようという想いを想起させると信じて行っています。

他にも、
クローゼットに眠っている服を持ってきていただいてのコーディネート提案や、
「洗濯方法や、素材ごとの取扱上の注意」などを丁寧にお伝えすることも重視しています。また購入後もご確認いただけるように、サイトページも準備中です。
しみがついたり、くたびれてしまったものについては、「黒染めサービス」を行っています。
驚くほどかっこよくなるので、ぜひ試してみていただきたいです!
▶黒でつなぐプロジェクト

補修部門もいずれは作りたいと考えつつ、今のところは補修できる外部のお店のご紹介や繕いワークショップなどに力を入れることを考えています。
フェアトレードは作ったものを購入していただくことで次の注文につながる仕組みです。
なので、長く持たれるより、次々と買ってもらわないと困らないの?と思われるかもしれません。
ありがとうございます。大丈夫です!

私たちが取り組んでいるのは、
私どもの提案する服を心地よく感じてくださる方に、日々を豊かに過ごしていただけるペースで服を取り入れていただくこと。

そして、
まだシサムの服に出会えていない大勢の方たち、
とくに環境負荷の高い服を無意識に購入している方たちに、どんどんシサム服にシフトしていただきたいと思っています。
まだシサム服に出会えていない方たちは星の数ほどいます。
周りにそうした方がいらっしゃったらぜひシサム服をご紹介ください!!

3. 服の店頭回収ㅤ

これまで試験的に服の回収や交換会などを店舗単位で行ないつつ、継続的な形でどうするかを検討してきました。
実は衣料品を回収して海外で必要としている人たちへ送る、ということであれば、すぐにでもできることでした。
ですが、そうした衣料品回収の裏に、善意で海外へ送られる衣料品が、現地でごみ山問題を引き起こしたり、現地のアパレル産業育成を阻んでしまうといった問題が隠れていることをどうしても見過ごせませんでした。

そこで、よりよい方法はなんだろうかとずっと模索してきました。正直、まだ明確な答えを見つけることはできていません。
ですが、自分たちが見える範囲でできることを、まずは始めることにしました。
歩みながら修正し、形を作っていきたいと思っています。

2023年8月1日から、シサム工房の直営全店舗で服の回収をはじめました。
大きく次の3つの流れを想定しています。

1. 店頭回収   仕分け   作家さんセレクト   古着製品づくり(アップサイクル)
2. 店頭回収   仕分け   障がい者施設で製品づくり(アップサイクル)
3. その他 「いらない人からいる人へ」 X 寄付

例えば、寄付と連動させて、
衣料品の交換会や譲渡会を行ったり、スタッフ有志による出店時に販売したり、はぎれにして店舗サービスの備品で使用したりといったことも想定しています。
※ 寄付先は、店頭募金に連動させることを想定。

目指すのは、つくったものを「長く生かす」こと。
そしてその過程で「たくさんの笑顔につなげる」ことです。
みなさまが大切に着てくださった服の第2の人生としていかがでしょうか?

※ 詳細は各店舗のInstagramにてご確認ください。
※ 対象は、まずは sisamオリジナル服限定となります。

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シサム工房はまだまだこれからです。
これからも学び、成長し、そしてできることを増やし、深めていきます。
大手企業のようにはできないことも多々ありますが、
私たちだからできる、草の根的なことを柔軟に、ひたむきにやっていきます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!

シサム工房 代表
水野泰平