こんにちは、三宮SOL店 ナカイです!
一足の革靴ができるまで ―GROW NATURALLY見学レポート
全4回にわたり、三宮SOL店スタッフ フジイとともに
GROW NATURALLYの革靴がどのように作られているのか、お伝えしていきます!
一足の革靴ができるまで ―GROW NATURALLY見学レポート①
一足の革靴ができるまで ―GROW NATURALLY見学レポート②
3回目の今回は、いよいよ【底付師】さんの工程をお話ししていきます!
ナ「さて、次はいよいよ【底付師】さんの工程に移ります。
底付けの工房も大阪 西成にあります。」
ナ「こちらが、底付け師の呉元さん!」
ナ「もう お一人の職人の北川さんとご一緒に
こちらの工房で、底付けの工程を担当されています。」
フ「呉本さんは、おいくつなんですか?」
ナ「御歳、78歳!になられるそうです!」
フ「なんと!職人さんは何年くらいされているんですか?」
ナ「呉本さんにお聞きすると、
『中2からやっとるけどな~、もう何年や~?あっはっは~』
と笑ってらっしゃいました!」
フ「ということは、64年されてるんですね!大ベテラン!!」
ナ「今回お話する底付けの工程では、
前回 お話した製甲師さんが、革パーツを立体的に縫製した後、
木型に沿って、革の部分と靴底の部分を張り付ける、底付けの作業をしていきます。」
ナ「この工程で靴の60-70%が決まるそうです!」
フ「靴づくりの要ですね!」
ナ「まず、縫製された革を、木型にはめ、【ミッドソール】を入れた後
手作業で【つりこみ】という作業をしていきます。」
フ「つりこみ…ミッドソール…
聞いたことがない言葉ばかりで…教えて下さい!」
ナ「ミッドソールは、
アウトソール(=靴底)と、インソール(=足裏にあたる部分)の
中間の部分のことです!
靴が出来上がった状態では、あまり見えない部分ですが
工房にはたくさん並んでいました!」
フ「ふむふむ
そんな部分があったんですね!」
ナ「そうなんです!
そして、【つりこみ】は、
縫製された革の部分を木型に沿って貼り合わせる作業のこです!」
フ「手作業で革を張る…想像がつきにくいです…
が、とにかく難しそうですね!」
ナ「本当に、見ているだけで難しそうな作業でした!」
ナ「張り合わせる作業自体が難しい上に、
GROW NATURALLYで使っているタンニンなめし の革は不均一で
1点1点、伸び方が違うので、毎回、革の状態を見ながら、
そして、靴のデザインも考えながら進めていかなければいけない
とっっっても難しい作業なんだそうです!」
フ「まさに、熟練の職人技という感じですね!
かっこいい!」
ナ「革のことも、靴のことも、熟知していなければできない作業です!」
ナ「革を木型に合わせて引っ張って、要所要所ハンマーで叩く、
『ギュッッ コンコンコン』
という音が、耳に心地よかったです!」
フ「結構手がぎりぎりの所で叩いてらっしゃるんですね…!」
ナ「呉本さん、
『指バーンって打ってしまうこともたまにあるんやで~』
って笑いながら仰ってました!」
フ「ひゃ~!痛そう!」
フ「この、使ってらっしゃるペンチみたいな器具もかっこいいですね。」
ナ「【甲釣(こうつり)】という名前で、通称【ワニ】だそうです!
つまんで引っ張ることも、革を叩くことも両方できる優れものなんだそうです。」
フ「ワニ!名前は見た目からでしょうか?」
ナ「話がそれましたが、そういえば、フジイさん
この小さ~な、穴、気づかれていましたか?」
フ「はい、何だろうって気になってました!
お客様からも何度か聞かれたことがあります!」
ナ「この小さな穴、まさにこの つりこみ の作業工程に関係があるんです!」
ナ「革と木型を固定する為に
とめているピンのあとなんです!」
フ「へ~!そうだったんですか!」
ナ「このピンで固定しないと木型と革がずれてしまって
つりこみ の作業ができないそうです!」
フ「そんな小さなところにも手仕事を感じられますね~!」
ナ「呉本さんが つりこみ をされたものがズラーっと並んでます!
つりこみ のあとは靴底を張り付ける為に接着剤を塗っていきます!」
フ「底もずらっと並んでますね~!」
ナ「ただ並べているだけではなく、
アウトソール(靴底)はゴム製なので、底をつけやすくする為に
ゴムが持っている油を出すための液を塗ってしばらく置いているところだそうです!」
ナ「接着剤を塗った後も、20~30分程置いてから張り付けます。」
フ「すぐ張らないんですか?」
ナ「接着剤の種類にもよるみたいなのですが、使っている接着剤は、時間を置くことで
接着剤の粘着力が強くなり、より、しっかりと張り付けられるそうです!」
フ「なるほど~」
ナ「その他も、革自体にオイルが入っているのでオイル止めもしたり、
糊だけで何種類もあるそうです!」
フ「へ~!
このストーブ?の上に置いているのはなんですか?」
ナ「レザーとゴムの靴底は相性が悪いので、
底がつきやすいように、コンロであたためているそうです!」
フ「う~ん、
塗ったり、置いたり、あたためたり…
底を付けるまでに、たくさん準備があるんですね!」
ナ「ほんとに!北川さん、ずっと手を動かされていました!」
ナ「しばらく置いた後は1点ずつ、靴底を張り合わせていきます。」
ナ「ぐっと力をいれたり、トントンと叩いたり、
ミッドソールや革の部分との位置を確認しながら張り付けていきます。」
フ「北川さんの背中かっこいいですね。」
ナ「黙々と作業されている姿に見とれてしまいました!」
ナ「手作業での張り付けが終わったら、
大きなプレス機で、さらに強力に張り付けていきます。」
フ「渋いメカですね!」
ナ「上からではなく、下から圧着させます。3tもの圧力がかかるそうです!」
フ「3t!
そんなに強い力がいるんですね!」
ナ「圧着が終わると、木型から靴を脱がせて、この工程での作業が完了です。」
ナ「木型から脱がす作業も、ぬるっと簡単に木型から外れているように見えたのですが、
素人では中々できないそうです!」
ナ「こちらが、底付けが完成した状態!」
フ「できたてほやほやですね!」
フ「ひとつの底付けの工程でも
こんなに細かく分かれているんですね!」
ナ「タンニンなめしの革での手仕事だからこそ、ですね!」
ナ「つりこみの難しさや、ゴム底との相性で、他の革を使うより手間がかかっても、
履き心地の良さや、経年変化の味わい、そして環境に優しい
タンニンなめしの革での靴づくりのこだわりが詰まってますね!」
フ「だからこそ、いい靴が仕上がるんですね!」
ナ「呉本さんの手、北川さんのエプロン、
真摯に靴づくりに向き合われている、積み重ねが伝わってきて、
じっと見つめてしまいました…。」
フ「ものづくりの現場だからこそ伝わるもの、感動しますね!」
呉本さん、北川さんとご一緒に集合写真!
(左上/卸スタッフ:ヤバタ 中央/北川さん・呉本さん 右上/シサムコウボウ代表:ミズノ ・ 卸スタッフ:マツダ
左下/online storeスタッフ:サタケ 右下/スタッフ:ナカイ)
ナ「お伝えしたいことが、たくさんで
またもや、長くなってしまいました…!
続きは次回に続きます!」
フ「次はいよいよ…」
ナ「完結編です!」
ナ・フ「次回もお楽しみに~!」
三宮SOL店 ナカイ
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